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右上の恋

 インターネットのそのサイトには、いつも右上にいる右上に因んだキャラがいる。コメント共に描かれた四角い顔のいかした奴で、僕はそのキャラを気に入っていたりする。ある日のこと、いつもの様にそのサイトで、その右上を見て、僕はふとくだらない事を思い付いた。

 “こいつを左上にしてやろう”

 なに、別に難しい事をやろうってんじゃない。単に窓を小さくしスクロールさせて右上を表示し、それを画面の左上に持って行くってだけのこと。

 右上なのに、左上にいるその姿を見て、僕はちょっとご満悦。

 “フフフ。左上にしてやったぜ…”

 本当にくだらない。自分でも思う。ところが、そこで僕は気が付いたのだった。右上の様子が少しおかしい。

 右上にもし性別があるとするのなら、恐らくはオス(男?)だろう。でも、その時の右上にはないはずのまつ毛があり、しかも可愛らしくリボンなんかついている。明らかに女の子っぽいデザイン。メスのように思える。

 あれ? こんなんだったかな?

 不思議に思った僕は、別窓を立ち上げて見比べてみることにした。すると、やっぱり別窓で立ち上げた右上の方にいる右上(ああ、ややこしい)は、いつも通りにオスを思わせるデザインだった。右上は、オス。左上はメス。なんだ、これ?

 そして、その時、混乱している僕に、更に追い打ちをかける出来事が。

 『オイ。三次元』

 そんな声が聞こえたのだ。ビックリした僕は、周囲を見回してみる。しかし、何もいない。気の所為かと思いかけているところに、また声が響いた。

 『オイ、ここだよ、三次元』

 そこで、画面で何かが不自然に動いている事に僕は気が付いた。しかも動いているのは、右上… 信じられないけど、事実だった。そう。右上が喋っているのだ。文字でなく、音声で…。

 いつの間に、こんな機能をつけたのだろう?

 驚くべき事だけど、このサイトなら、やりかねない… かもしれない、とも思う。しかし、それから、右上はこう続けるのだった。

 『さっきから、気になってるんだけどよ、そっちにいる可愛い子はなんだよ。普段は、お前なんかに話しかけないけど、あの子が気になって、オレは今、話しかけてるんだよ』

 はい?

 可愛い子?

 一瞬の間の後で、僕は理解する。可愛い子ってのは、左上の方に僕が持って行った、あの例の“メス”の事だ。右上は、続ける。

 『話がしたいんだよ。頼むから近づけてくれよ。じゃないと、これからずっと、お前のパソコンで喋り続けるぞ』

 まだ頭が混乱していたけれど、僕の頭がおかしくなったにしろ、それ以外の何かが起こったにしろ、このまま右上に喋り続けられたら堪らない。僕は言う通りにしてみた。左上のメスを、右上に移動させる。しかし、

 『オイ。違うよ、三次元。オレが話したいのは、野郎じゃないんだよ、あの可愛い女の子なんだって』

 移動させると、そう右上は言うのだった。よく見てみると、移動させて今は右上になっている元左上は、いつの間にかオスのデザインになっているのだった。

 僕はそれに固まる。それから、今度は右上の方を左上に移動させると、今度はその元右上がメスのデザインに……。

 これ、近づけろったって、無理なのじゃないか?

 それで僕はそう思う。

 「これ、どうにもならないよ」

 その後、仕方なく僕はそう言ってみた。しかし、右上はそれに納得をしてくれない。

 『オイ、三次元。お前はいつでも可愛い女の子に会えるだろうけど、こっちは、そうはいかないんだよ。オレが可愛い女の子に会えるなんて、もう二度とないかもしれないんだぞ?

 頼むよ、可哀想に思うのなら、なんとかしてくれよ! 三次元! オイ、三次元!』

 あまりにしつこいので、多少、僕は苛ついてしまった。

 “三次元、三次元、五月蠅いな…”

 が、その時に僕は思い付いたのだった。

 待てよ。三次元? 三次元なら、この手があるじゃないか……

 実は僕はノートパソコンも持っている。仕事で必要だから、安めのやつを買ったのだ。二次元の世界では、左右が出会うなんて事は不可能だけど、三次元なら……。

 僕はノートパソコンにあのサイトを表示させて、そして先と同じ方法で、左上を作りだした。メスになる。そして、それからそのノートパソコンの画面を、デスクトップパソコンの画面に重ねてみた。

 三次元で、向い合せにするのなら、右上と左上を近付ける事が可能だ。この方法で右上が満足するのか疑問ではあったけど、少しだけ見えた右上は、その時、目を輝かせていたように思えた。

 しばらくノートパソコンをデスクトップに重ね続ける。我ながら、何をやっているのだろう?と思う。なんだか、物凄く間抜けで馬鹿馬鹿しい。それからしばらくした後に離す。すると、右上は非常に満足そうな表情を浮かべていた。

 「満足したか?」

 僕が尋ねると、右上はこう言う。

 『ああ、良かった… 右上、超リア充…』

 リア…?

 まぁ、いいけど。

 「なら、もう黙ってくれるな?」

 右上は頷いてから、こう答えた。

 『ああ、一日に一回くらいにするよ。だから、これからもあの女の子に合わせてくれ…』

 僕はその返答に頬を引きつらせた。


 そんな訳で、それから僕は、毎日のようにその馬鹿馬鹿しい作業をしなければならなくなったのだった。

 『オイ。今日の分がまだだぞ、三次元。さっさとしろよ』

今日も僕は右上にそう言われる。

信じられないかもしれないけど、本当なんだ。これを読んでいる君、くだらないイタズラ心で、変な事を試してみるのは、慎んだ方がいい。じゃないと、きっと、僕みたいな目に遭うから。

この物語はフィクションです。

実在する個人、団体、某サイト右上とは一切関係ありません。

なお、些末な設定の齟齬は、ストーリーの都合上、ガン無視しました。


あ、右上で歌も作りました。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm21074510

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